○設楽町認知症の人にやさしい地域づくり基本条例

平成30年9月25日

条例第11号

前文

我が国における認知症の人の数は2012年で約462万人、65歳以上高齢者の約7人に1人と推計されており、2025年には約700万人前後、65歳以上高齢者の約5人に1人に達することが見込まれています。今や認知症は、誰もが関わる可能性のある身近な病気となっています。

このため、認知症の人が住み慣れた環境の中で地域の一員として暮らしていくことができるよう、認知症の人にやさしい地域づくりが求められており、町民、事業者、関係機関及び町がそれぞれの役割を果たしていくことが大切です。

また、認知症の人にやさしい地域は、決して認知症の人だけにやさしい地域ではありません。認知症の人を在宅において支えている家族など困っている人がいれば、その人の生活と介護の状況をよく理解し、支援するという地域の繋がりが必要であり、認知症の人にやさしい地域づくりを通じて地域を再生するという視点も重要となります。

ここに、認知症の予防はもちろんのこと、認知症になっても安心して暮らすことのできる地域の実現を目指して、この条例を制定します。

(目的)

第1条 この条例は、認知症の人にやさしい地域づくりの理念を定め、町民、事業者、関係機関及び町の役割を明らかにすることにより、認知症に関する施策及び取り組みを総合的に推進し、もって認知症の人にやさしい地域づくりを実現することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の定義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 認知症 アルツハイマー病その他の神経変性疾患、脳血管疾患その他の疾患により、日常生活に支障が生じる程度にまで認知機能が低下した状態として政令で定める状態をいう。

(2) 町民 町内に居住する者及び町内に通勤又は通学する者をいう。

(3) 事業者 町内で事業を営む個人又は法人をいう。

(4) 関係機関 認知症に関する医療、介護、支援等に携わる機関をいう。

(5) 認知症サポーター 認知症に対する正しい知識と理解を持ち、地域で認知症の人やその家族を見守り、支援する者をいう。

(6) 生活習慣病 食生活、運動、喫煙、飲酒、ストレス等の生活習慣が深く関与し、脳血管疾患、心疾患等の発症の原因となる動脈硬化症、糖尿病、高血圧症、脂質異常症等の疾患の総称をいう。

(基本理念)

第3条 町民、事業者、関係機関及び町は、次に掲げる認知症の人にやさしい地域づくりに関する基本理念に基づき、取り組みを推進するものとする。

(1) 認知症に関する正しい知識及び理解に基づき、認知症の人及びその家族のよりよい生活を実現するために必要な支援を受けられるよう、地域全体で支えること。

(2) 認知症の人の意志が尊重され、できる限り住み慣れた地域の良い環境で、尊厳をもって暮らし続けることができる社会の実現を目指すこと。

(3) 町民、事業者、関係機関及び町がそれぞれの役割又は責務を認識し、相互に連携すること。

(町民の役割)

第4条 町民は、認知症に関する正しい知識を得て、その理解を深めるよう努めるものとする。

2 町民は、日常生活において、自ら認知症の予防に努めるとともに、事業者、関係機関及び町が実施する認知症に関する取り組みに協力するよう努めるものとする。

3 町民は、介護予防、見守り等地域住民相互の支え合いの活動に積極的に取り組むよう努めるものとする。

(事業者の役割)

第5条 事業者は、認知症に関する理解を深めるとともに、従業員に対し必要な指導を実施するよう努めるものとする。

2 事業者は、認知症の人及びその家族の事情に応じた必要な配慮を行うよう努めるものとする。

3 事業者は、町民、関係機関及び町が実施する認知症に関する取り組みに協力するよう努めるものとする。

(関係機関の役割)

第6条 関係機関は、相互の有機的連携により、認知症の人に対して、適切な環境の下で、容態の変化に対応した最も相応しい医療、介護等の提供ができるよう努めるものとする。

2 関係機関は、認知症の人に対して、各々の価値観や個性を持つ主体として尊重し、本人が有する力を最大限に生かしながら、安心した暮らしができるよう医療、介護等の質の向上に努めるものとする。

3 関係機関は、町民、事業者及び町が実施する認知症に関する取り組みに協力するよう努めるものとする。

(町の責務)

第7条 町は、認知症の人及びその家族の現状を的確に把握するとともに、生活や介護における課題や要望等を調査・分析し、認知症に関する施策を総合的に実施しなければならない。

2 町は、前項の施策の実施に当たっては、必要な組織体制の整備を図るとともに、絶えず施策の実施状況及び効果等を検証し、適宜その内容を見直すものとする。

(人材の育成及び正しい知識の普及に関する施策)

第8条 町は、関係機関と連携し、認知症に関する専門知識を有する人材の育成及び確保に努めるものとする。

2 町は、学校、事業所等において認知症に関する正しい知識を普及するため、認知症サポーターの養成を積極的に推進するとともに、研修会の開催、各種広報媒体の活用その他の必要な施策を実施するものとする。

(認知症の予防に関する施策)

第9条 町は、認知症の予防に有効とされる活動を行うための環境整備、認知機能検査の実施その他の認知症の予防に関する施策を積極的に推進するものとする。

2 町は、認知症の発症や進行には生活習慣病が深く関わっていることに鑑み、必要に応じて、生活習慣病の予防等に関する指導及び助言を行うものとする。

3 町は、認知症予防に関する取り組みを実施する地域組織等に対し、必要な支援を行うものとする。

(認知症の人及びその家族への支援に関する施策)

第10条 町は、認知症の人及びその家族が気軽に相談及び交流のできる環境の整備を図るとともに、地域における活動に対して支援するものとする。

2 町は、認知症の様態に応じた適切な支援を早期に実施するため、関係機関との情報の共有及び連携体制の整備を図るものとする。

3 町は、行方不明となる恐れのある認知症の人を早期に発見、保護するため、町民、事業者及び民生委員等と連携した地域における見守り体制の整備を図るものとする。

4 町は、認知症と診断された人による事故等について、本人及びその家族に対し、必要な支援を行うことができるものとする。

(委任)

第11条 この条例に定めるもののほか、必要な事項は町長が別に定める。

この条例は、公布の日から施行する。

(令和3年2月22日条例第3号)

この条例は、令和3年4月1日から施行する。

設楽町認知症の人にやさしい地域づくり基本条例

平成30年9月25日 条例第11号

(令和3年4月1日施行)